【対話からはじまる憲法】憲法を問う真剣勝負!(書評)
権力者を監視する役割が求められる。それが憲法なのだ。
【あらすじ】
第1章 憲法に何を書いてはいけないのか
・憲法は国家権力を縛るもの。私的な領域と公権力の領域を区別すべき。
「大きなお世話論」
第2章 本当の「立憲」の話をしよう
・立憲とは憲法を拠り所にすること。まずいのは権力不在による混乱。
第3章 地方と憲法
・何が正解かわからないから、手続きを踏み、それが正解だと擬制するのが立憲であり民主主義。
第4章 9条との対話① 「当てはめ」か「解釈」か
・これは「ルール」の問題か、「当てはめ」の問題か。そのプロセスこそが「法の支配」の根幹。
・72年見解の「解釈」とは。「やむを得ない場合」とは。「必要最小限度」とは。
第5章 9条との対話② 「軍」なのか「行政」なのか
・行政活動が、自国の主権が及んでいることが大前提。
第6章 「護憲」「改憲」の二極論を超えて
・憲法には、政治権力を抑えていく面と、政治権力を積極的に動かす面がある。
第7章 有事と憲法
・自衛権は国際法上の権利。9条における集団的自衛権の「解釈」とは。
【評価/感想】
評価:★★★★☆
橋下徹氏なので即買い。
相変わらずの橋本節。自身の政治経験からくる具体的な事例や具体的な案に私はまたまた一網打尽。必ずしも正しい訳ではないかもしれないけど納得しっぱなし。ま、絶対的な正解も無い訳で、そんな中で立場を明確化していく姿勢は議論を進める為には正しいと思うし誠実だと思う。
「何が絶対的に正しいかはよくわからないけれども、みんなで決めたもので進めよう」という僕の立憲的感覚、民主主義観が根底にありますね。
ある人の意見が周囲を納得させるのは、責任を負っている重みがあるからです。その責任とは多くの事例を扱うことで理想とのギャップに悩みながら、困難な現実的課題を解決するための判断を繰り返さなければならないのです。そのような判断だからこそ、無責任な言いっぱなしの意見にならず、周囲が納得することに繋がる。こう考えると専門家会議とか詰問機関というのは、やっぱり助言機関の域を出ないのかな、と感じます。
うちの会社にも評論家みたいに言いっ放しの人は多いが、無駄に役職もあるので無下に無視できないのが困る。橋本氏のように汗かいて、プロセスを踏んで進めないとな。
いつの間にか自分も評論家になっていないか、自戒しないと。
橋下氏でなかったら触れなかったであろうこの本。触れなかったであろう憲法。実は憲法ってすごく身近にあったのだ。もっと知りたくなってしまったではないか。
繰り返しになるが、相変わらずの理詰めでガンガン来る橋下氏に惚れ惚れ。それに真っ向勝負の木村草太氏も今後は要チェックだ。