【夫の墓には入りません】”嫁だけ我慢”はもうやめた!人生逆転小説(書評)
夫の墓には入りません
(著:垣谷美雨)
夫が亡くなっても「高瀬家の嫁」!?
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【あらすじ】
・夫が脳溢血で急死。夫の実家は長崎で有名な名家であり舅姑とは良好な関係。悲しむ舅姑に対し、むしろ自由を手に入れた解放感に満たされている事に負い目を感じた夏葉子だが。
・「お線香を上げさせてください」葬儀後から始まったお線香訪問。次々に謎の人々が押し寄せる。愛人?の訪問等による夫への不信と、勝手に上がり込み夏葉子を「高瀬家」へ取り込もうとする姑たち。
・舅姑等の介護を終えるまで「高瀬家の嫁」は続くのか。いよいよ夏葉子は、頼りたくなかった東京の両親に助けを求める。
【評価/感想】
評価:★★★★★
さすがの垣谷美雨氏。面白くて一気読みです。よくもまあ、こう次々と取り上げるテーマが巧みなのか。
団塊の世代ぐらいの人たちまで?は、息子の嫁を「一家の使用人」と捉えているのであろう。
このお話は私の妻にも起きうるのだろうか。
物語と同様に、夫(私)が舅姑(私の両親)よりも先に死んだ場合、十分ありうるのではないかと思いゾッとする。私の両親も夏葉子の舅姑と同じく常識人の範疇だと思うのですが、いざとなると何を言い出すか分からないかも。夏葉子の舅姑も名家で常識人であり、悪気が全く無い為、ことさら怖い。
夫の親とは言え他人。他人の世話、介護、他人と墓に入る、それってどうなのか。
物語は、「姻族関係修了届」「複氏届」により解決したが、娘を助ける東京の実父の存在や、いつのまにか「つぶしてもいい人間」になってしまっていた夏葉子自身の改心も重要である。
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