【会社の裏に同僚埋めてくるけど何か質問ある?】同僚に苦しめられている者が取った決断は!?(書評)
会社の裏に同僚埋めてくるけど何か質問ある?
(著:夕鷺かのう)
"そんなこと"を自分に思わせる環境から、適切に離れることができますように。
【あらすじ】
・志帆は市の行政に携わりたくて勝ち取った地方公務員。しかし現実は同僚の問題児・宮村常市51歳の仕事を押し付けられ、彼のミスのクレーム処理、謝罪に追われ、ネット掲示板の他人の炎上を眺めてストレスを発散する日々。
・怒鳴り込んできた来庁者に殴られる事件が発生。原因は当然宮村のミスなのだが、なぜか志帆に懲戒戒告。おまけに額の傷は残るかもしれない。志帆はついに縁切り神社に行く。絵馬には「同僚を殺して埋めてしまいたい」
・後日、同僚から見せられたネット掲示板の質問は「会社の裏に同僚埋めてくるけど何か質問ある?」
【評価/感想】
評価:★★★☆☆
夕鷺かのう氏のブラックお仕事小説第3弾。
だから上司らはやりすごす。
宮村という小規模な爆弾が、せめて自分の手元にいる時に炸裂しないことを祈りながら、課にいる他の職員に涙を呑ませどうにか負担を押しつけながら、息をひそめて次に回せる時を待つ。
いわば爆弾ゲームなのだ、これは。
今回も同僚にストレスを抱える人が「縁切り神社」に駆けこむお話。
いつも腹痛で早退するおじさん・宮村さんが起こすトラブルを、サブリーダーをやらされている志帆が処理しているのだ。また納期遅れやミスを、わざと起こして早退するという悪質問題児。
親友や同僚からの情報で入ってくる「縁切り神社」の存在。
志帆の状況と徐々にリンクしていくネット掲示板の内容。
とうとう絵馬の文言とネット掲示板の文言が一致してしまう。
志帆の最後の決断はよかった。
そして志帆の同僚たちはみんな一癖あり、なかなかな結末です。
今回も絵馬(と何か)が状況を変えてくれました。
耐える志帆、耐えきれなくなる直前に起きる(起こす)きっかけ。私も常々、「時間が解決してくれる」「止まない雨はない」と思っていますが、逃げ場も大事ですね。