40代サラリーマン 書評ブログのはじめ

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読んだら残したい。個人の主観で書き綴ります。

【一緒にお墓に入ろう】母の死で勃発した「墓問題」(書評)

一緒にお墓に入ろう

(著:江上剛)

 

先送り病の俊哉にも先送りできない「墓問題」。妻と入るか?愛人と入るか?

 

 

 

 

 

【あらすじ】

・四井安友銀行の常務取締役執行役員である大谷俊哉は、故郷の母の死からお墓問題に直面する。故郷の隣町に住む妹・清子は「私は嫁ぎ先の笠原家の墓を守る務め」と拒否し、若いころから母と折り合いの悪かった妻・小百合かも夫の実家のお墓に入る事を拒否。「墓を頼む」と遺言?を残した母の遺骨を東京へ一旦持ち帰り間に挟まれることに。

・遺骨を持った俊哉はその足で愛人・麗子の元へ。妻は「同じ墓には入りたくない」という一方で、愛人・麗子は「同じお墓に入りたい」と、郊外の南多摩霊園にお墓を購入してしまうがそれは詐欺であることが発覚してしまう。

・妻・小百合は一転、東京でなら一緒にお墓に入ってもよいと言い出し、俊哉と都心も納骨ビルへ訪問。時を同じくして愛人・麗子も墓を購入しに納骨ビルへ。

・納骨ビルで俊哉を見かけた麗子の怒りが爆発。会社に妻にマスコミに暴露。結果、会社をクビになり愛人から追い出され、妻からも三行半を突きつけられて四面楚歌。俊哉の終の居場所はいかに?

 

【評価/感想】

評価:★★★★☆

 年を取るとみんな気になる(はず)の「墓問題」。

 

 大谷家のご先祖様はこの地で連綿と命をつなぎ、歴史を積み重ねてきた。その証が、阿弥陀寺の墓地だ。

 それなのにその墓を自分の代で途切れさせ、墓じまいをし、東京の納骨ビルに、それも宗派は問わずと言いながら真言宗から浄土真宗に宗旨替えをする・・・・・・

 

 先祖代々連綿と命をつないできたお墓。その墓を自分はいったいどう扱うのか。また自分はどこの墓に入るのか。入らないのか。妻はどうするつもりなのか。

 両親や先祖を想うと墓を守ってあげたい気がしますが、この「墓問題」を子供たちには引き継がせたくないとも思う。更に私自身の気持ちはどうなのか。非常に悩みます。そして答えが出ません。

 「まあいいじゃないか」の先送り病の俊哉ばりに思考が止まってしまい、先送りしてしまうこの問題。しかし、いつかはやってくるのです。。。

 

 物語は、「まあいいじゃないか」の先送りの結果、出世問題も、愛人問題も、妻との関係性も、墓問題も、すべてが怒涛の修羅場と結末が待っている。妻・小百合と愛人・麗子は巡り巡って意気投合。俊哉を排除することで一致団結。死後離婚を選択し、死後には小百合と麗子がお墓で同居する約束をしたことで、生前も死後も居場所を確保し満足の女性陣。一方、俊哉はひとりで居場所を探すことに。

 

でもね、考えたらお墓ってもはや”家”単位のものではなくてもっと”個”単位の要素が強くていいんじゃないかって思ったのよ。死後の居場所っていうのかな、生きている人のためにお墓ってあるんじゃないのって思うのよ。