【イン・ザ・プール】トンデモ精神科医・伊良部一郎へ「いらっしゃーい」(書評)
訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。
【あらすじ】
(イン・ザ・プール)
・「プール依存症」の和雄は、50分毎に休憩させられる一般プールだけでは物足りなくなり、禁断症状に陥る。精神科医・伊良部の処置は、「深夜のプールに無断侵入」。
(勃ちっ放し)
・「陰茎強直症」で生活に支障をきたし始めた哲也。自分に怒る能力がない為に性器が代わりに怒っているのだ。精神科医・伊良部の処置は、「晒し者」。
(コンパニオン)
・「妄想癖」でストーカー被害を思い込む広美。常に誰かに見られている、尾行されているのだ。精神科医・伊良部の処置は、「コンテストでの嫌がらせ」。
(フレンズ)
・「メール依存症」で常にケータイが手放せない雄太。メール不調で繋がらない日、予定が埋まらないクリスマスの日に追い詰められる。精神科医・伊良部の処置は、「メール」。
(いてもたっても)
・「強迫神経症」でタバコの火の始末の確認行為が止められない義雄。遅刻が分かっていても戻らずにはいられない。次第に「ガスの元栓、漏電、更には以前取材したホームレスの行動すら確認せずにはいられない。精神科医・伊良部の処置は、「他医院の院長のベンツにいたずら」。
【評価/感想】
評価:★★★★☆
トンデモ精神科医・伊良部シリーズ第1弾である。
どの患者の状況もトンデモであり面白いがあるあるでもある。それを診察するのが精神科医・伊良部一郎。40代、色白デブ、変態、マザコン、そして処置方法もトンデモなのである。しかしそのトンデモ処置が、毎回毎回患者の気持ちを吹っ切らせ、穏やかにしてしまう凄腕なのである。
気楽に読むのにピッタリ、そんなバカな!の短編集である。