【ひなた弁当】リストラ、転落、大逆転!!(書評)
ひなた弁当
(著:山本甲士)
途方に暮れた中で立ち上がる良郎に心が躍る。
【あらすじ】
・社内親睦野球大会で金田常務の頭へデッドボールを当ててしまった。その後のフォローも裏目。何をやってもダメな課長補佐・芦溝吉郎はリストラ通告を受ける。しかも会社から用意された再就職先は正社員でなくただの派遣登録。
・一向に決まらない派遣先。やっと声がかかったと思えば違法気味の仕事や過重労働。腰痛で離脱後は働く意欲は減退一方。妻の目を避け公園へ行く毎日の中で、心の病気を自覚する。
・ドングリを探す親子を見て「食ってみようかな」と思い立つ。その後は食用野草を試し回り、更には淡水魚釣りへ。
・会社員時代に通った弁当屋「いわくら」の大将の力を借り、ほぼすべての食材を自分で調達した弁当を売り始める。
【評価/感想】
評価:★★★★☆
いい話である。
ドングリをきっかけに行動を起こし、野草や淡水魚を調達し、次々に調理していくところからは吉郎に引き込まれ、心地よさを感じるのである。
そして、吉郎を励ましたかつての派遣社員の栗原小奈美、野草採取中に知り合った英国紳士風の老人、釣りを教わった男性、釣りを教えたニートの若者。周りの登場人物がこれまたすべていい人で、すべての出会いが後になってひなた弁当を好転させてくれてとっても爽快です。
・オイカワの南蛮漬け
・テナガエビの唐揚げ
・マブナの甘露煮
・味噌を塗ったノビルミツバとマブナのつみれ入り味噌汁
・煎ったドングリ
妻も娘もひっくり返ったという美味さの吉郎の手料理、食べてみたい。
自分がもし同じ境遇に陥ったら。誰しも他人事ではないと思うストーリーに没入できました。
私にもこんな行動力はあるのだろうか。。。